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2015年10月24日

Bloodborne -The Old Hunters-

  SCEJAのプレスカンファレンスでBloodborneのDLC情報が公開された。かねてよりDLCについては告知されていたものの、「秋ごろ」という情報だけだったので続報が秋と思いきやそれは配信日のことだった。11月24日にDL版配信、パッケージ版は12月3日発売となる。
  今回は記事が非常に長くなってしまったので、前後編に分けることにした。Bloodborneの猟区はどこまで拡張されるのか。遅ればせながら辿っていく。





◇ルドウイーク
◇古い時代
◇終わりに





◇ルドウイーク


  本編においてルドウイークの情報は少ない。それはアイテムテキストのみであり、医療教会の最初の狩人ということ、聖剣の持ち主であり、ゲールマンとは違う流れである教会の工房を立ち上げ、獣狩りと上位者狩りに臨み、狩人の募集、そして輝く剣の狩人証にあるように英雄であるということ。これが本編におけるルドウイークの全てだった。断片的に語られるだけだったその英雄がDLCにて登場する。しかしその姿は醜く変わり果てており、悪夢の中で主人公と対峙することになる。

人の姿形をほとんど留めていない。聖職者の獣よりも酷く病が進行しているようだ。

  獣や上位者を狩る英雄ルドウイーク自身が獣化してしまう結末はダークソウルのアルトリウスを想起させる。しかし姿は変わりながらも聖職者の名残はいくつか見られる。

背中には聖職者特有の聖布と、巨大な剣の柄が見える。本編の聖剣とは異なるデザインだ。

だがその聖職の装束を以ってしても、あまりにおぞましい内側の姿は覆い隠せないようだ。

  聖職者の獣は鹿、エミーリアは山羊というように一口に獣の病と言っても種と言えるものがあり、ルドウイークは馬がモチーフのようだ。それは崩れた面長の顔と蹄のついた後ろ脚に見て取れる。異常発達した片腕は聖職者の獣の特徴と似ているが、他の部位を見ればルドウイークがただ獣化しただけでないことは一目瞭然だ。右肩には独立した大きな口があり、脚の数は2本や3本ではない。その内の何本かは人の脚であり大きさも角度もバラバラだ。それらは地についておらず脚としての用を成していない。不要としか思えないのに存在するそれは見る者の恐怖を煽るようだ。

  ルドウイークのおぞましい姿は再誕者そのものだ。再誕者戦BGMの作曲者である鈴木氏のインタビューによれば、再誕者は大量生贄の儀式によるものとのこと。ルドウイークも儀式の犠牲者ということなのだろうか。右肩にある大きな口の中には無数の目玉があり、瞳に異常に執着していたメンシス学派の存在が背後に窺える。試遊版の登場ムービーでは「赦してくれ…赦してくれ…」とルドウイークに懇願し助けを乞う人物がいた。この人物はメンシス学派の人間なのだろう。かつての英雄ルドウイークの悲惨な変貌は、彼らの所業に間違いなさそうだ。

  思い出されるのは聖職者こそが最も恐ろしい獣になるという言葉だ。聖職者の獣やエミーリアより明らかに格上である英雄ルドウイークが獣化したのだ。その力は如何ばかりだろうか。

  ちなみにTGSの試遊ではルドウイークの体力が半分以下になっても行動パターンは変わらなかった。これは試遊のための調整ということらしい。DLCでは後半戦のルドウイークは背負った大剣を発達した右手で振るうようになるのだろうか。ルドウイークの本気はまだ誰も目にしていない。聖職者こそがもっとも恐ろしい獣になる、プレイヤーはこの言葉の真の意味を思い知ることになりそうだ。

  ここで前回予告していた試遊のルドウイーク撃破後のセリフを記す。以下に文字を背景色と合せて書いたので読んでくれる人は文字選択して反転、ネタバレを回避したい人は解説まで隠してはいないのでその先へジャンプしてほしい。



「ああ、ずっと、ずっと側にいてくれたのか。我が師、導きの月光よ」



  戦いの緊張が残るなか突然、それも思わぬところで馴染み深い言葉が目に入った。Bloodborneにおいて月はグラフィックとテキスト双方で散々目にしたが月光という言葉はついぞ見ることはなかった。フロムソフトウェアの象徴とも言うべき月光。初代キングスフィールドのムーンライトソードを端とするそれは、シリーズはもちろん他のさまざまな作品に登場し、その伝統はソウルシリーズも例外ではなくデモンズでは月明かりの大剣、ダークソウルでは月光の大剣として登場した。Bloodborneにもその伝統は期待されていたのだが本編には登場せず、しかしDLCにて月光という言葉が現れた。そしてそれはどうやら剣ではなく人物のようだ。

  導きの月光とは誰のことだろう。Bloodborneで月と言えば月の魔物だが、狩りの対象である上位者をルドウイークが師と仰ぐとはとても考えられない。「側にいてくれた」という言葉をそのまま受け取るならルドウイークと戦った主人公のことだろうか。月に関係する人物となると主人公やゲールマンなどの狩人とフローラくらいのものだ。主人公が古い狩人の時代にもいたのならルドウイークとも関わりの一つもあったかもしれないが、あるいはルドウイークは主人公との戦いによって死に、初めて狩人の夢に行ったのではないだろうか。この言葉が夢で出会ったゲールマンに対してのものだとすれば、それは至って自然なことだ。ルドウイークは教会の最初の狩人であり、月に囚われたゲールマンはすべての狩人たちの始祖なのだ。二人が師弟関係にあってもおかしなことはない。



  余談だがBloodborneにもムーンライトソードは存在するという考察がある。結論から言うとそれはルドウイークの聖剣なのだそうだ。名称とデザインが異なるにも関わらずそれと見なすのには洒落た根拠がある。

  まずルドウイークという名前。海外版ではLudwig表記となりこれはドイツ語圏の男性名だ。発音はルートヴィヒが近く、ルドウイークというのは英語発音によるものだ。そして我々の世界で最も有名なルートヴィヒの一人にベートーヴェンがいる。ドイツの偉大な作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンはLudwig van beethovenであり、ルドウイークと同じ綴りを持つ。ベートーヴェンは日本では特に第9や運命などで知られるが、他にもそのフレーズを聴いたことのない人はいないと言い切れる曲がある。それがピアノソナタ第14番「月光」だ。

  おそらく海外発と思われるこの考察。月光剣の不在から聖剣の持ち主であるLudwigの名前に着目し、ベートーヴェンの月光に繋げたのだ。ルドウイークの聖剣が従来の月光剣と名称や見た目が違うのは、ゴシックホラーのBloodborneの世界にファンタジー色の強い月光剣のデザインは馴染まないという判断なのだろう。しかし溢れるアイデアとセンスにより、これまでとは違う形で伝統の一つとしてその名を連ねることとなった。

  DLCに備えて月光を聴いて気分を高めるのもいいかもしれない。第一楽章は暗さと美しさで眠くなってしまいそうだが、第二楽章は軽やかに、後半の第三楽章はベートーヴェンの激情が見られる。記事の最後に動画のリンクを載せておくので興味のある人は是非。





◇古い時代


「だから奴らに呪いの声を。赤子の赤子、ずっと先の赤子まで。すべての血のなき者たちよ」

  DLCトレーラーの血のない者たちとは誰のことだろうか。恐らくヤーナムの女王のものと思われるこの言葉。血がないと言えば眷属(イズに関わりのある異形)たちだ。エーブリエタース、星界の使者や星の子ら、脳喰らい、さらに言えばウィレームや教室棟の学徒、人形は血が赤くない。人形は別として、彼らのような血が赤くない者たちを血のない者たちと言っているのだろうか。

  女王の並々ならぬ恨みの理由は何か。特に血のない者たちと指していなければ、単純に考えてそれは赤子を攫ったメンシス学派なのだろうがそれだけではなさそうだ。遠い昔のトゥメルの地は、一足先に宇宙に触れたイズに支配された過去でもあったのだろうか。そういえばトゥメル人は上位者の眠りを祀っていた。上位者たちも一枚岩ではなくそれぞれに対立があってもおかしくはない。様々な登場人物や過去の国の人間たちが宇宙に触れるのを競っていたように、上位者たちもまた赤子を求めているのだ。女王ヤーナムと思われるセリフはそういった争いが関係しているのかもしれない。

歪んだ月を背負う時計塔。

  この画像の時計塔は聖堂街と同じものだ。旧市街にも時計塔はあるがデザインが違う。新たなエリア「狩人の悪夢」は悪夢の主の記憶によって構築され、聖堂街の時計塔を再現しているのだろう。背後の禍々しい月は、主が古い時代の人間であれば、焼き払われる前の旧市街の儀式によるものと考えられる。恐らくDLCでは古い狩人の記憶を辿って前回の儀式があった時代、旧市街の浄化の前後の時代を探索することになるのだろう。

こちらはタイトルムービーの時計塔。今見るとDLCトレーラーと対照的なシーンであることに気付く。

 左側の煙を上げている建物が上層の孤児院。時計塔の手前には孤児院に通じる橋も見える。しかしDLCの方にはどちらも存在しない。狩人の悪夢はやはり古い時代の記憶のようだ。

燃え盛る聖職者の獣。

  DLCでは本編とは違う形で聖職者の獣が登場するようだ。聖職者の獣は本編で剣の狩人証を持っていたことから、元はルドウイークと同じ教会の狩人の一人だったことが分かる。気になるのは獣の病に感染した経緯だが、それは旧市街の惨劇だろうか。体が燃えているのはその浄化によるものと考えられなくもない。

  燃える聖職者の獣がいる場所は本編でエミーリアがいた大聖堂だ。大聖堂は時計塔の真下にあり、悪夢の中であってもその構造は同じだろう。聖職者の獣は焼かれた旧市街から大聖堂に逃げ、その出来事が悪夢の主の記憶に刻まれているのかもしれない。

  そういえばタイトルムービーにおいても聖職者の獣は大聖堂にいた。

ローレンスの頭蓋に触れようとする主人公。その背後に近づくのが聖職者の獣だ。

  Bloodborneの開発初期、それがまだProject Beastだった頃あるムービーが作られた。それは去年のタイトル発表前後にリークされ当時血眼になって見た人も多いと思うが、実はそれと同様のムービーがもう一つあり発売後しばらくしてからリークされた。そのムービーでも聖職者の獣は大聖堂にいたのだ。

その巨体と異様に発達した左腕はまさしく聖職者の獣だ。
ちなみにエミーリアはヘムウィックの魔女の館にいた。

  元々聖職者の獣は大聖堂に配置する予定だったのか、開発途上でさまざまな仕様が変更されるのは当然のことだが、今こうして比較してみると興味深いものだ。本当はエミーリアが魔女という案があったのかもしれない。今思えばこのボス部屋はヘムウィックの魔女戦にしては広すぎるようにも思う。獣化したエミーリア戦を想定しての広さのような気もしなくもない。また、発売前の方のリーク動画では大聖堂にいたのはエーブリエタースだった。

  DLCでは聖職者の獣が大聖堂に帰ってくる。体を覆う火が旧市街の事件によるものならそこから古狩人デュラに繋がるはずだ。若かりし頃の、まだ獣狩りをしていたデュラと会えるだろうか。もちろんその他の古狩人たちも気になるところだ。本編で古狩人と明記されている狩人は数多くおり、登場が確定しているルドウイークの他に、ゲールマン、ガスコイン、ヘンリック、ローゲリウス、ゲールマンの弟子、初代狩人狩りがいる。背教者イジーも含まれるかもしれない。本編だけでもこの人数、加えて既に判明しているヤマムラ、その他にも新たな狩人はいるだろう。また古い時代なら処刑隊に滅ぼされる前のカインハーストの騎士たちにも出会えるかもしれない。副題はThe Old Huntersだ。古い狩人たちの活躍に期待したい。





◇終わりに


  後編はキーアートにある騎士装束の狩人と時計塔がテーマだ。また、本編では存在しか知られていないビルゲンワースの裏切り者とゲールマンの弟子、そして主人公にも触れていく。投稿は明日。







◇参考

The Old Huntersトレーラー
Project Beast 1
Project Beast 2
ベートーヴェン ピアノソナタ第14番「月光」




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